検定試験や研修における目標設定
社内での検定試験や研修を効果的なものとするために必要なのが
「どのような人材にしたいのか? どのような能力を習得させたいのか?」
という目標設定です。
社内で検定や研修を行う最大の目的は、企業が望む人材を育成するための教育ですが、
・得られた知識が実務に紐づいていない
・企業が望む方向とずれている
などの場合、その成果を十分に活かすことはできません。
そのため、検定や研修においては、まずはじめに
「人材育成の方向性や修得させたいスキル」
を考えることが重要なステップとなります。
よくある失敗しやすいケース
すべての参加者に同じ研修や試験を行っている
このようなケースは、新入社員の研修等でよくみられるケースです。
新入社員に対して基礎的な一般常識やビジネスマナーを教育する研修や試験は必要ですが、それだけでなく、社員の配属先や職種にあわせた内容を取り入れることも重要です。
このような社員の立場にあわせた研修等を実施することで、より早く実務に反映できる能力を育成することができます。
例 新入社員向けの検定内容
実務と関係の低い検定や研修を行っている
対 象 | 共通科目 | 専門科目 |
総務社員 | 一般常識(国語・数学・簡単な英会話 企業の歴史、ビジネスマナー、時事問題、メール文書の作り方や送り方、社内報告の仕方 | ワード・エクセルの基本的な使い方 伝票の仕分け・記入・帳簿管理 定型文書の種類や作成の仕方 社内決済や稟議の仕組み |
営業社員 | 営業の基本姿勢や顧客との応対法 スケジュールの作り方や管理の仕方 見込み先の設定や絞りこみ 基本的な営業方法や資料収集 |
企業にはさまざまな職種や業務がありますが、これらとはあまり関係のない検定や研修を行っているケースも少なくありません。
しかし、どんな研修等を行っても、それが実務と関係の薄かったり、実務への応用が難しい場合には、知識は定着しません。
したがって、研修等を行う場合には、その内容が
「その後の実務に生かせるものなのか?」
「その経験をどのように活用するのか?」
を考慮する必要があります。
効果的な研修や検定をするためのステップ
社内での研修や検定は、以下の流れで行うと効果を得やすくなります。
- 現在の社員のレベルを正確に把握する
- 対象社員の実力がどの程度あるかを把握しておくことは、現在の能力の確認だけでなく、検定や研修のレベルの設定や合格点のラインを決めるうえでも重要となります。
これは適切なヒアリングや事前の研修等を行うことで、把握することができます。
- 目標レベルを正しく設定する
- 社員の実力の把握ができたら、次に企業が求めるレベルとの調整を行います。
これにより、最終的な検定や研修の方向性、レベルの設定、内容の難易度を決定します。
- 検定や研修の実施
- レベルや方向性の調整ができたら、それにもとづいて検定や研修の内容の決定・実施をします。
なお、試験や研修の内容は、ペーパーテストだけなく
・実技的な要素やロールプレイなどを取り入れる
・定期的に課題を提出させる
・オンライン研修の場合は、単元ごとに小テストをする
などをすると、より正確な実力の養成や理解度の確認をすることができます。
- 検定や研修後の効果確認
- 試験等の終了後に、どの程度それらが実務に生かされているかを確認します。
対策としては
・研修等で学んだ知識を実践で生かす場を提供する
・試験や研修に関連する業務や案件を担当させる
・チェックシートにより、理解度や実践度を確認する
などが考えられます。