社内試験・研修を効果的にするポイント

「試験の点数はいいのに、実務でのミスが減らない」
「研修はやっているが、現場の動きが変わらない」……。

人事担当者の方の中には、こんな悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?
多くの企業が抱えるこの悩みは、教育の「設計図」に原因があります。

この記事では、社内試験や研修を効果的なものにするための具体的なステップと、陥りがちな失敗を防ぐポイントを解説します。

1. なぜ、会社の試験や研修は「実務」に結びつかないのか?

社内で試験や研修を行う最大の目的は、「企業が望む人材を育成するための教育」です 。

その教育を行っていく中で、とくに重要なのが
「どのような人材にしたいのか? 」
「どのような能力を習得させたいのか?」
という目標の設定です。

しかし、多くの現場では以下の2つの理由により、その成果を十分に活かせていません。

  • 知識と実務の乖離: 得られた知識が実務に紐づいていない 。
  • 方向性のズレ: 企業が望む方向と、研修内容が合致していない 。

そのため、これらを解消するためには、まずはじめに「人材育成の方向性」と「習得させたいスキル」を明確に定義することが、重要なステップとなります 。

試験・研修でよくある「3つの失敗パターン」

効果が出ない教育には共通のパターンがあります。
自社の取り組みが以下に当てはまっていないかチェックしてみてください。

① 全参加者に「同じ内容」を実施している

新入社員に対してビジネスマナー等の基礎教育を行うことは必要ですが、それだけでは不十分です 。
社員の立場や配属先、職種を考慮した内容でなければ、早期の実務への反映は期待できません 。

② 実務との関連性が低い

業務と関係の薄い検定や、実務への応用が難しい研修を行っても、知識は定着しません 。
設計段階で「その後の実務に生かせるのか?」「その経験をどう活用させるのか?」を問い直す必要があります 。

③ 「やりっぱなし」で効果測定がない

試験が終わったことで満足し、その後の活用状況を追跡しないケースです。
これは教育投資を無駄にする大きな要因となります。

実践!効果的な試験・研修を構築する「4ステップ」

試験や研修を効果的なものとするには、いきなりこれらを実施するのではなく、以下のような適切なステップを踏んで行う必要があります。

ステップ1:現在のレベルを正確に把握する(現状分析)

対象社員の実力を把握することは、試験レベルの設定や合格基準点を決める上で不可欠です 。
これができていないと、どの程度の課題を与えるかがわからないだけなく、試験の内容やプログラムそのものを構成することができません。

【対策】

試験・研修を開始する前に、まずは「教える側」と「受ける側」のギャップを埋める準備期間を設けます。

  • 現在の社員レベルの把握
    • 対象社員へのヒアリングや事前研修を実施し、現在どの程度の実力があるかを正確に測定します 。
  • 目標レベルの設定と調整
    • 把握した実力を踏まえ、企業が求める理想のレベルとのズレを調整します 。
    • この調整結果に基づき、最終的な試験の難易度や合格基準点を決定します 。

ステップ2:目標レベルを正しく設定する

社員の現状が把握できたら、次に「企業が求めるレベル」との調整を行います 。

ここで気を付けたいのが、「企業が求めるレベルの明確化」です。

企業が求めるレベルはあいまいなものではなく、企業の目標に沿って明確化されており、言語化できるものでなければなりません。

そのため、この段階では、試験等の最終的な方向性、レベル、内容の難易度等の教育の規準となる項目と量を設定する必要があります。

ステップ3:試験構成の決定

把握した現状と目標に基づき、具体的なカリキュラムを策定します 。

ここで重要なのは、「職種別」の設計です。

同じ会社にいてもすべての人が同じ仕事をしているわけではなく、また、達成すべき目的も異なります。
しかし、これらに関係なく、一律に試験や研修を行っているケースも少なくありません。

したがって、試験や研修等を行う場合には、個々の参加者の属性を考慮し、それぞれにあった問題の出題やプログラムを組むことが必須となります。

【対策】

全員一律の内容ではなく、配属先や職種に合わせた専門的な内容を組み込みます

  • 共通科目の設定
    • ビジネスマナー、企業の歴史、就業規則、時事問題、メール文書作成など、全社員に共通して必要な基礎を固めます 。
  • 職種別科目の設定
    • 総務職: ワード・エクセルの操作、伝票仕分け、帳簿管理、社内決済・稟議の仕組みなどを習得させます 。
    • 営業職: 顧客応対、スケジュール管理、見込み先の管理、資料収集方法など、現場で即活用できる内容に特化します 。

【職種別・教育内容の構成例】

対  象共通科目専門科目(実務特化)
総務社員一般常識(国数英)、企業史、ビジネスマナー、時事問題、メール・報告の作法 16OAスキル(Word/Excel)、伝票仕分け、帳簿管理、定型文書作成、社内決済・稟議の仕組み 17
営業社員(総務と同様の基礎スキル)営業の基本姿勢、顧客応対、スケジュール管理、見込み先管理、資料収集・営業手法 18

なお、試験の構成や研修で、どのようなアウトプットをさせたいかを事前に考えておく必要があります。詳しくは以下の記事をご参考ください。

社内研修計画作成の手順と抑えておくべき要点

社内研修は、ただ多くの項目をあれこれと詰め込めばよいというものではありません。 はじめに求めるアウトプットを明確にし、その実現のためにどのような手法が有効かとい…

ステップ4:試験の実施と効果確認

試験・研修の実施

試験や研修を実施し、ステップ2で設定した合格基準にもとづき、最終的な理解度を判定します 。

また、試験や研修では、ペーパーテストだけでなく、以下のような要素を取り入れて、より実務に活かせる内容となるように工夫します。

 ▼ 単元ごとの小テストを実施し、理解が不十分な箇所を早期に発見します 。
 ▼ ロールプレイや実技演習を導入し、現場で動けるかどうかを確認します 。
 ▼ 問題の内容に現場で生じる課題や過去の失敗例などを盛り込み、実務への対応力を確認します。

また、ロールプレイなどを行う場合には、ペーパーテストとは分けて評価し、それらの総合により評価するようにします。

項  目評価の割合
本試験70%
実技テスト20%
その他10%

フォローアップ

試験等の終了後に、その効果がどの程度、実務に生かされているかを確認します。

【対策】

以下のようなフォローの中で結果が実務に反映できているかを確認し、実務への反映が不十分な場合は、再度フォロー研修を検討します 。

▼ 実践機会の提供

研修で学んだ知識をすぐに活用できるよう、関連する業務や特定の案件を意図的に担当させます 。

▼ 試験や研修内容に即した課題の設定と報告

試験や研修により習得した内容にもとづいた課題を与え、定期的に報告させるようにします。

▼ チェックシートの活用

チェックシートにより、理解度や実践度を確認する。

なお、具体的な研修のスタイルやプログラムについては、以下の記事で紹介していますので、よろしければご参照ください。

社内研修の3つのスタイルと実践プログラムの具体例

社内研修にはいくつかのスタイルがあり、どれを使うかで伝わり方や受講者の理解度が大きく変わります。 また、スタイルだけでなく、これを組み合わせてどのようなプログラ…

まとめ

社内で検定や研修を行う最大の目的は、企業が望む人材を育成するための教育です。

社内での社内検定や研修を効果的なものとするために必要なのが「目標設定」ですが、得られた知識が実務に紐づいていないと、その成果を十分に活かすことはできません。

そのため、検定や研修においては、参加者の能力の測定からその後のフォローまでの過程を確実に実施すことが重要となります。

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