次の社内研修で学ばせたい。民法の要点と研修で教えるポイント
会社の研修や昇進試験では、民法に関連する問題を出題する企業は多いと思います。
民法は「私法の王」といわれるほど、生活に密着しているだけでなく、汎用性が高く、また、紛争が生じたときのスタンダードな解決基準となります。
しかし、全部で1050条と範囲が広範なため、研修や昇進試験にこれを取り入れるときには、その企業の業種や業務にあった内容を選ぶ必要があります。
この記事では、会社の業務でとくに必要となる「民法の総則~債権編」について、基本的な構成やとくに重要となる規定の解説の他、関連する特別法、業種別のおすすめ出題分野についてご紹介します。
民法の構成と概要
民法は、総則・物権・債権・親族・相続編の5つの編により構成されています。以下では、親族・相続編を除く3編について、それぞれ解説します。
総則編(第1条~第174条の2)
民法の「総則編」は、民法の第1編にあたる部分で、すべての私法を対象とした基本的なルールを定めた規定となります。
この総則のルールは、一部の一般法や特別法を除き、すべての私法に適用されるため、民法に限らず私法全般についての、最も規範的かつ基準的なものとなります。 民法総則は、以下の規定で構成されます。
第1章 総則 ・通則(第1条・第2条) 第2章 人 ・権利能力(第3条) ・意思能力(第3条の2) ・行為能力(第4条―第21条) ・住所(第22条―第24条) ・不在者の財産の管理及び失踪の宣告(第25条―第32条) ・同時死亡の推定(第32条の2) 第3章 法人(第33条―第84条) 第4章 物(第85条―第89条) 第5章 法律行為 ・総則(第90条―第92条) ・意思表示(第93条―第98条の2) ・代理(第99条―第118条) ・無効及び取消し(第119条―第126条) ・条件及び期限(第127条―第137条) 第6章 期間の計算(第138条―第143条) 第7章 時効 ・総則(第144条―第161条) ・取得時効(第162条―第165条) ・消滅時効(第166条―第169条) |
総則を理解するうえで、欠かせないのが以下の規定です。
「通則(第1条)」、「権利能力(第3条)」、「意思能力(第3条の2)」、「行為能力(第4~6条)」、「法人(第33~34、36条)」、「物(第85~89条)」、「公序良俗(第90条)」、「心裡留保(第93条)」、「虚偽表示(第94条)」、「錯誤(第95条)」」、「詐欺又は強迫(第96条)」、「意思表示の効力発生時期等(第97条)」、「代理(第99~118条)」」、「無効・取り消し(第119~126条)」、「期間の計算(第140~143条)」、「時効(第144~169条)」があります。
このうち、とくに以下の規定は、日常生活や会社の業務において重要となります。
「行為能力」
未成年者や単独では有効な契約等をすることのできない成年被後見人などについた定めたものであり、これらの者が契約をした場合の効果や有効性を判断するのに重要な規定となります。
「法人」
条文数は少ないですが、法人が有効に成立するための要件や、行うことのできる行為の範囲を規定しています。
「物」
不動産と動産の区別、不動産に法律的に従属するもの、果実(果物や家賃など、そのものから生ずる利益)について定められていることから、とくに不動産関連の業務では重要な規定となります。
「公序良俗」や「心裡留保」、「虚偽表示」、「錯誤」
他人に表示した意思(意思表示)がどのような場合に無効となるかについての規定であり、当事者以外の第三者が関係する場合の効果を定めていることから、とくに契約関連において重要となります。
「詐欺又は強迫」
意思表示が取り消しとなる場合の規定であり、行った契約を取り消すことができる場合の要件を定めた規定となります。
「意思表示の効力発生時期等」
相手に向けてした意思表示がいつからその効力を生じるかについて定めたもので、郵便やメールなどの通知が届いた、届いていないという争いの場合に、その基準となります。
「代理」
個人や法人が代理人を通じて行った意思表示の効果やその範囲、無権限で行った場合の効果等について定めたもので、とくに会社が社員を通じて他人に対して行った法律行為が有効か無効かを判断するうえで重要な規定となります。
「無効・取り消し」
無効と取り消しの効果の違いや、無効となった場合の原状回復義務などについて定めているため、契約が取り消し・無効となった場合に、相手に請求できる返還の義務やその範囲を規定しています。
「期間の計算」
いつから期間が始まり、終了するのかを定めているため、契約期間の始期と終期を定めるために必要な規定となります。
「時効」
物や権利を保有するだけで所有権等を得たり、逆に失ったりする制度について規定したものであり、とくに消滅時効は権利の喪失にかかわるものなので業務においても重要となります。
物権編(第175条~第398条の22)
民法の「物権編」は、民法の第2編にあたる部分で、物権とは物を直接的に支配し、所有、使用、収益、換価する権利です。この物件編で規定されたものだけが物権として効力を持ち、登記することで第三者に対してもその権利を主張することができます。
民法物権編は、以下の規定で構成されます。
第1章総則(第175条―第179条) 第2章 占有権 ・占有権の取得(第180条―第187条) ・占有権の効力(第188条―第202条) ・占有権の消滅(第203条・第204条) ・準占有(第205条) 第3章 所有権 ・所有権の限界 ・所有権の内容及び範囲(第206条―第208条) ・相隣関係(第209条―第238条) ・所有権の取得(第239条―第248条) ・共有(第249条―第264条) 第4章 地上権(第265条―第269条の2) 第5章 永小作権(第270条―第279条) 第6章 地役権(第280条―第294条) 第7章 留置権(第295条―第302条) 第8章 先取特権 ・総則(第303条―第305条) ・一般の先取特権(第306条―第310条) ・動産の先取特権(第311条―第324条) ・不動産の先取特権(第325条―第328条) ・先取特権の順位(第329条―第332条) ・先取特権の効力(第333条―第341条) 第9章 質権 ・総則(第342条―第351条) ・動産質(第352条―第355条) ・不動産質(第356条―第361条) ・権利質(第362条―第368条) 第10章 抵当権 ・総則(第369条―第372条) ・抵当権の効力(第373条―第395条) ・抵当権の消滅(第396条―第398条) ・根抵当(第398条の2―第398条の22) |
このうち、物権の主要部分を理解するうえで、欠かせないのが以下の規定です。
「物権の設定及び移転他(第176~178条)」、「占有権(第180~192、196~202条)」、「地上権・永小作権・地役権・留置権・先取特権・質権(第265~368条)」、「抵当権・根抵当権(第369~378、388~389、396、398の2~398の5、398の20条)」があります。
このうち、とくに以下の規定は、日常生活や会社の業務において重要となります。
「占有」
物を所持しているだけで行使できる権利であり、その内容には複数の種類があります。また、占有権に基づく訴えは日常や業務でも活用することができます。
「所有権」
最も万能の権利ですが、これ自体の条文は少なく、ほとんどが隣接地所有者との関係を規定した「相隣関係」や、複数人で所有する場合の「共有」の規定となっています。とくに共有は、購入や相続により他人と権利を共同で持つ場合の規定であるため、日常生活に密着したものとなります。
「地上権や永小作権、地役権、留置権、先取特権、質権」
通常の生活や業務に影響することがほぼないため、ここでは割愛します。ただし、業務で火災保険などに質権設定をする場合は、総則部分と権利質の項目を押さえておくとよいでしょう。
「抵当権・根抵当権」
普通抵当と根抵当権の2種類があり、どちらも不動産等を担保にするという点では同じですが、その内容は大きく異なります。住宅ローンのように一回きりの担保については抵当権が規定しますが、商取引や銀行取引のように一回の契約(基本契約)で何度も借り入れ・返済を繰り返すような場合には、根抵当権の対象となります。銀行や取引先との間で借り入れや貸付けをする際の担保を設定する場合には、欠かせない規定となります。
債権編(第399条~第724条の2)
民法の「債権編」は、民法の第3編にあたる部分で、債権とは特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利です。債権は物権とは異なり、特定の相手にのみ効力を持つ権利ですが、契約の大半は債権であるため、日常生活や会社の経営において非常に重要な役割を果たします。
民法債権編は、以下の規定で構成されます。
第1章 総則 第1節 債権の目的(第399条―第411条) 第2節 債権の効力(債務不履行の責任、債権者代位権、詐害行為取消権 第412条~第426条) 第3節 多数当事者の債権及び債務(総則、不可分債権及び不可分債務、連帯債権、連帯債務、保証債務 第427条~第465の10条) 第4節 債権の譲渡(第466条~第469条) 第5節 債務の引受け(併存的債務引受、免責的債務引受 第470条~第472条の4) 第6節 債権の消滅(弁済、相殺、更改、免除、混同 第473条~第520条) 第7節 有価証券(指図証券、記名式所持人払証券、その他の記名証券、無記名証券 第520条の2~第520条の20) 第2章 契約 第1節 総則(契約の成立、契約の効力、契約上の地位の移転、契約の解除、定型約款 第521条~第548条の4) 第2節 贈与(第549条~第554条) 第3節 売買(総則、売買の効力、買戻し 第555条~第585条) 第4節 交換(第586条) 第5節 消費貸借(第587条―第592条) 第6節 使用貸借(第593条―第600条) 第7節 賃貸借(総則、賃貸借の効力、賃貸借の終了、敷金 第601条~第622条の2) 第8節 雇用(第623条―第631条) 第9節 請負(第632条―第642条) 第10節 委任(第643条―第656条) 第11節 寄託(第657条―第666条) 第12節 組合(第667条―第688条) 第13節 終身定期金(第689条―第694条) 第14節 和解(第695条・第696条) 第3章 事務管理(第697条―第702条) 第4章 不当利得(第703条―第708条) 第5章 不法行為(第709条―第724条の2) |
このうち、債権の主要部分を理解するうえで、欠かせないのが以下の規定です。
「債権の目的(第399条~第411条)」、「債権の効力(第412条~第426条)」、「多数当事者の債権及び債務(第427条~第465の10条)、債権の消滅(第473条~第520条)、契約総則(第521条~第548条の4)、贈与(第549条―第554条)、売買(総則、売買の効力、買戻し 第555条~第585条)、交換(第586条)、消費貸借(第587条~第592条)、賃貸借(第601条~第622条の2)、雇用(第623条~第631条)、請負(第632条~第642条)、委任(第643条~第656条)があります。
このうち、とくに以下の規定は、日常生活や会社の業務において重要となります。
「債権の目的」
このうち、特定物の引き渡しの注意義務や金銭債権、法定利率は、契約書を作成するうえで欠かせない要素が規定されているため、契約書を扱う方にとっては必ず知っておくべき規定となります。
「債権の効力」
このうち、履行期と履行遅滞、履行不能、損害賠償、金銭債務の特則などは、どのような場合に契約が不履行となり、どのくらいの損害を請求できるかを規定したものです。
「債権者代位権」
自分の債権を回収するため他人の権利を行使できる権利であり、「詐害行為取消権」は、債権者を害することを知って行った行為を取り消す権利です。いずれも正常な支払いを受けられない場合の債権回収をするうえで欠かせない手段であるため、これらの知識があれば余裕を持った契約締結をすることが可能となります。
「連帯債務と連帯保証」
借入れの際に複数の債務者や保証人に連帯して責任を負わせる契約手法ですが、通常、法人が借入れをする場合には代表者が連帯債務者や連帯保証人となるため、どのような責任が生じるのかや、自分が弁済をしたときに他の債務者等にどのような請求ができるのかを理解するうえで重要な規定です。
「債権譲渡」
自分が保有し、または保有される他人への債権が譲渡されたときに、だれに対して請求や支払いをすべきかを定める規定です。譲渡先が複数ある場合の優先順位を定めているため、法的に正しい相手先を決めるうえで知っておくべき規定といえます。
「債権の消滅」
この中でとくに重要となるのが、弁済と相殺です。弁済は自分が行った弁済が有効なのかや、支払われた金額の充当の順番、証書の取り扱いなどを規定しているため、企業間での支払いに関するトラブルの防止に役立ちます。
「相殺」
自分が相手に対して債権(反対債権)を有する場合に、その額を帳消しにする規定ですが、相手に支払いの資力がない場合でも、相殺を利用することで、実質的な回収を図ることができます。
「契約の効力」
この中では、同時履行の抗弁権や債務者の危険負担、契約の解除の規定が重要となります。その中でも契約の解除は、通常の取引の中で多く利用されるため、正式な解除をするためには知っておくべき規定といえます。
「売買」
債権編の中でも最も重要な規定であり、通常、最も取引の多い売買の内容について規定しています。売買の中でも追完請求権(以前の瑕疵担保請求権)に関する規定は、売買で購入した物の内容等が不十分だった場合の規定ですが、このようなことは取引において多く生じるため、その際の判断の基準となります。
「消費貸借」
種類や、品質、数量が同じものを返還することを約束して物などを受け取る契約ですが、その対象のほとんどは金銭消費貸借となります。これは金銭の借り入れをした場合の契約の内容を定めるものであるため、融資や貸付けの契約をする際には必須のものとなります。
「賃貸借」
借賃を支払って家や建物などを借り受ける場合の内容を規定する規定ですが、実際の取引では、借地借家法などの特別法が優先的に適用されるため、それらもあわせて理解しておく必要があります。
「雇用」
他人を雇うときの基本的な契約となりますが、これについても実際の人の雇用については、労働基準法が優先して適用されるため、こちらについての理解も不可欠となります。
「請負」
制作を依頼した建物や製品に不具合があった場合に追加で補修を請求したり、契約の解除ができる場合を規定したもので、業務で請負契約を行う場合には理解しておくべき規定となります。
「委任」
これも他人に業務を行うことを依頼するものですが、請負は物の完成と報酬の支払いが契約の条件となるのに対して、委任は法律行為をすることを委託するだけという違いがあります。仕事でコンサルや士業に対する委託をする場合の委任契約の根本となる規定です。
「不当利得」
相手から本来よりも多いおつりを受け取った場合など、法律の原因にもとづかずに利益を得た場合の規定です。善意(そのことを知っていた)または悪意(知らなかった)により返還する範囲が異なる他、不法原因給付(不法な原因にもとづいて得た利益は返還しなくともよい)どの規定が重要となります。
「不法行為」
故意または過失により他人に損害を与えた場合の処理に関する規定であり、自動車事故や傷害事件等、日常生活や企業活動において生じるトラブルの賠償の基準となる規定であるため、ぜひとも押さえておきたい知識となります。
民法に関連する特別法
特別法とは、ある特定の事項について、広く全般に適用される一般法よりも優先して適用される法律のことをいいます。
民法には特別法がいくつもあり、その中には強行規定(違反すると無効になるもの)も数多く存在します。そのため、企業における研修や問題作成のためには、これらについても正しく理解しておく必要があります。
借地借家法
借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権・土地賃貸借(借地権)と、建物の賃貸借(借家権)について定めた特別法です。民法の賃貸借の条文の特別法となるため、こちらが優先して適用されることになります。
民法よりも借主の権利が大幅に強化されており、また、「強行規定に抵触する内容の契約で借主に不利なものは無効」となるので、注意が必要です。
消費者契約法
消費者契約法は、事業者と消費者の契約関係を規律する法律で、民法の契約条文の特別法となります。「消費者と消費者」または「事業者と事業者」の間の契約には適用されません。消費者契約法に反する契約は、無効または取り消しの対象となります。
特定商取引法
特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止する法律です。訪問販売や通信販売等の一定の取引類型を対象とした、民法の契約条文の特別法となります。特定商取引法違反の行為については、クーリング・オフの対象となる他、行政処分や刑事罰の対象にもなります。
労働基準法
労働基準法は、労働者に適用される労働条件の最低ラインを定めた法律で、民法の契約や請負条文の特別法となります。労働基準法に違反した行為は無効となる他、労働基準監督署による行政処分の他、悪質なものについては刑事罰が科されます。また、違反の内容によっては事業主も罰せられます。(両罰規定)
労働契約法
労働契約法は、労働者と使用者の間の労働契約の成立や内容、終了などに関する規定を定めた法律です。これに違反した場合の罰則はありませんが、契約が無効となったり、労働基準監督署による行政処分の対象となります。
下請法
下請法は、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といい、下請事業者に対する親事業者の不当な取り扱いを規制するものです。民法の請負条文の特別法となりますが、独占禁止法を補完する法律でもあります。下請法に違反した行為は、公正取引委員会等による勧告の他、罰金刑の対象となります。
PL法
PL法とは、製造物責任法を意味し、製造物の欠陥により損害が生じた場合の賠償責任を定めた法律です。民法の不法行為責任条文の特別法となります。製造業者だけでなく、加工、輸入した者なども対象となります。製造物により他人の生命・身体・財産に損害が生じた場合には、「無過失」でも生じた損害を賠償する責任を負います。
会社法
民法が一般法であるのに対し、会社法は商取引に関する特別法となります。そのため、会社間における契約や取引については、民法に優先して会社法が適用されます。
独占禁止法
独占禁止法は、正式名称を「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、企業による私的独占や不当な取引制限など、公正・自由な活動を妨げる行為を規制する法律です。
民法の契約や請負条文の特別法となりますが、この法律を補完する目的で下請法が定められています。この法律に違反した場合は、公正取引委員会等から勧告などの行政処分の他、刑事罰が科せられます。また、違反の内容によっては事業主も罰せられます。(両罰規定)
なお、建設業の方で、談合と独占禁止法について詳しく知りたい方は「談合をなくしたい建設業が知っておきたい独占禁止法の知識」の記事をご参照ください。
その他の法律
民法の特別法ではありませんが、一定の分野において一定の行為をする場合の制約を定めた法律があり、これが民法と抵触するときはこれらの法律が優先して適用されます。
例:建設基準法、建設業法、労働者派遣法、食品衛生法、景品表示法、金融商品取引法、利息制限法、消費生活用製品安全法、電気用品安全法など
業種別におすすめ!問題出題や研修に必要な法律
社内試験の問題や研修において、どのような法律が必要となるかは、企業の業種や取り扱う業務により異なります。以下では代表的な業種につき、必要となる民法の規定と特別法についてご紹介します。
※下線付きは民法の規定
業種全般に共通して必要となる条文や知識
すべての業種において、仕入れ、販売、人の雇用は共通して発生する業務のため、これらに関する契約・売買(契約、仕入れ、販売)、雇用・労働基準法(人の採用)に関する民法の知識が必要となります。
また、会社を設立して事業をする場合には、会社法(会社の設立や構成)の知識も不可欠となります。
飲食業・小売業
飲食業では、共通して必要となる知識の他、店舗の賃貸借や調理に関する業務が発生します。
また、小売業ではネットによる販売なども一般的となっています。
そのため、飲食業については、これらに該当する民法や特別法の知識として、賃貸借(店舗の賃貸借)、食品衛生法(調理)、風適法(酒類の提供)などがおすすめできます。小売業については、特定商取引法や景品表示法(販売)などが必要となります。
建設業
建設業では、共通して必要となる知識の他、請負契約、下請けへの発注、工事、入札などに関する業務などが発生します。
そのため、これらに該当する民法や特別法の知識として、請負(注文の受注)、下請法(下請けへの発注)、建設業(工事)、独占禁止法(入札)などが必要となります。
製造業
製造業では、共通して必要となる知識の他、製造、委託に関する業務などが発生します。
そのため、これらに該当する民法や特別法の知識として、PL法、消費生活用製品安全法、電気用品安全法(製造)、請負(注文の受注)、下請法(下請けへの発注)、委託(委託製造)、独占禁止法(カルテル)などが必要となります。
金融業
金融業では、共通して必要となる知識の他、融資、担保設定、回収、有価証券の販売などの業務が発生します。
そのため、これらに該当する民法や特別法の知識としては、消費貸借(融資業務)、利息制限法(融資業務)、抵当権、根抵当権(担保設定)、サービサー法(回収業務)、金融商品取引法(有価証券の売買)などが必要となります。
介護業
介護業では、共通して必要となる知識の他、サービスの委託や介護保険請求、消防対応などが必要となります。
そのため、これらに該当する民法や特別法の知識としては、委託(サービスの委託契約)、介護保険法(報酬計算・請求)、消防法(消防対応)などが必要となります。
まとめ
民法はすべての私法のもととなる重要な法律です。また、関連する特別法も多く、その中には強行規定もあるため、これらについてもあわせて理解していく必要があります。
しかし、民法のすべての規定を理解するには多大な時間と労力が必要となるだけでなく、実際の業務には関係ない規定も多く含まれます。
そのため、社内で試験問題の作成や研修をする際には、まずは「自分の会社や業務に必要な民法の条文や特別法は何か」を考え、絞り込むのが効率的といえます。
テストビジネスでは、クライアントさまのご希望の書籍や資料からの問題作成の他、出題形式、難易度などについても柔軟に対応いたします。また、試験を受けられる社員さま等の理解度を深め、実務に活かせる研修も行っています。
企業の社内問題の作成についてご質問等がある場合は、お気軽にご相談ください。
