社員が実務で成果を出すための「社内試験」とは

企業が直面する課題は、時代とともに変化しています。
その中でも、とくに近年目立つのが
「研修をしても行動が変わらない」
「同じミスが繰り返される」
「判断力の属人化が激しい」
といった“現場の判断品質”に関する問題です。
こうした課題を解決する方法として注目されているのが 社内試験の設計と運用の見直し です。
しかし、ただやみくもに試験を実施すればよいわけではなく、働く人の行動にもとづいた問題の作成や運用が重要となります。
この記事では、「どんな試験方法が必要なのか」、「どんな対策を組織として取るべきか」、「そのために効果的な対策は何か」という観点から解説します。
現代の組織に必要な“社内試験”とは何か
多くの企業で実施されている従来型の試験は、「マニュアルの暗記チェック」、「知識穴の確認」に止まることが多いといえます。
しかし、実際の現場で求められるのは 知識ではなく“判断と行動” です。
▼ 現場で本当に求められている能力
現場で本当に求められている能力は、以下のようなものです。
| 🔽 ケースに応じた判断力 🔽 ミスを予防する洞察力 🔽 顧客対応の優先順位付け 🔽 リスクを察知する力 🔽 関係者との連携・報告スキル |
しかし、これらは、通常の暗記型のテストでは測定できません。
そのため、これらの能力を測定するには試験方法そのものを“実務再現型”に変える必要があります。
必要となる試験方法とは ― “ケース型+行動判断型”
現場での行動を変えるためには、「実際の現場を再現したケース問題」を採用するのが最も効果的となります。
この「ケース型+行動判断型」の試験方法には、以下のようなものがあります。
1)ケース型試験(状況判断テスト)
「ケース型試験」とは、現場で起きるトラブルや曖昧な判断場面を文章として提示する方法です。
例:
『』19時のピークタイムにクレームが発生し、調理担当は自分に非がないと言い張っている。お客様は急いでおり、後ろの列も伸び始めている。あなたの最適な対応とは?』
効果: 現場で起きる“判断のゆらぎ” をそのまま試験化することで、その人の考え方や判断力を測定することができる
2)行動判断型試験(コンピテンシー評価)
「行動判断型試験」とは、行動科学を基に「望ましい行動」、「望ましくない行動」を選ぶ形式の試験です。
例:
『あなたが担当する顧客から「資料が届いていない」と怒りの電話が入った。調べると、社内の発送処理が遅れていたことが原因。最も適切な初動対応はどれか?』
効果:判断誤りの傾向が顕著に出るため、とくに対応の改善に有効
(3)ミス実例再現型テスト
「ミス実例再現型テスト」とは、実務で起こりがちなミス” を問題文として提示し、「どこが問題か」「どう改善すべきか」を問う形式のテストです。
例:
『あなたは取引先A社への送付メールを作成中に、急いでいたためBCCを使わず複数社のアドレスをToに直接入力してしまい、送信してしまった。このミスの主な問題点を2つ答えよ。』
効果:「二度と同じミスをしない」仕組みとして、最も効果が高い
4)優先順位型テスト
複数のタスクの中から「何を優先すべきか」を問う形式のテストです。
例:
あなたは今朝、以下の4つの仕事を抱えている。優先順位を並べ替えよ
- 取引先からのクレームメール(顧客怒り度大)
- 14時の会議資料の最終チェック
- 部長からの軽微なデータ依頼(期限は明日)
- 備品発注(すぐでなくても良い)
効果:現場の生産性とリスク管理の教育効果が高い
実務型試験のための4つの対策
試験の形式だけをまねても、正しい運用・改善が行われなければ効果は薄いものとなってしまいます。
実務型試験を機能させるためのポイントには、以下の4つがあります。
実務型試験のための4つのポイント
| ① ミス事例の体系的な収集 ② 試験問題の毎回更新 ③ 試験結果の分析と研修改善 ④ 上司教育・OJTとの連動 |
ミス事例を体系的に収集する
実務にあった問題を作るには、出題するミスの事例を集め、問題に反映させる必要があります。
社内のミス事例を体系的に収集する仕組みとしては、「クレーム記録」、「ヒューマンエラー報告」、「管理職ヒアリング」、「現場日報」などがあります。
しかし、これらすべての仕組みから収集するのは難しいため、記録などがない場合は、最も収集しやすいヒアリングを活用します。
試験問題を「毎回更新」する
業務ルール・法改正・顧客ニーズは常に変化するため、試験問題も変える必要があります。
毎年同じ内容の使いまわしでは、試験対策が容易となり、教育効果も落ちてしまいます。
そのため、試験内容は社内・社外の環境変化に応じて毎回新しいものにし、状況により出題方法や形式等も変えていきます。
試験結果の分析と研修改善
試験は「点数を出すための道具」ではなく教育を改善するためのデータ収集装置といえます。
そのため、実施に当たっては、以下の分析が欠かせないものとなります。
| ▼ 部署別の傾向 ▼ 誤答ごとの“考え方のクセ” ▼ 新人・ベテランの差 |
また、分析で得られたデータや特徴はそのままにせず、以降の研修に反映させるようにします。
上司教育やOJTとの連動
社員がどれだけ試験で学んでも、現場の上司が間違った指導をしていては意味がありません。
また、とくに新人は上司の行動に大きく影響され、その後においてもその方法や様式を踏襲する傾向があります。
そのため、試験結果を上司の行動内容のチェックや指導方法、OJTにも反映させるようにします。
実務型試験を行うのが困難な理由
以上のように、実務型試験の作成には作業の工数と時間が必要となります。
そのため、これを社内で行う場合には、次のような課題をクリアーしなければなりません。
1)ケース問題作成には専門の技術が必要となる
ケース問題の作成には、次のような専門の技術が必要となります。
しかし、これらの作業を行うのに適した人材が社内にいることは少なく、一般の社員が片手間でできるものではありません。
- 文脈構成力
- 判断分岐の設計
- 業務理解
- 試験としての難易度調整
2)ミス事例の収集・整理に手間がかかる
現場にはミスが散在していますが、その中からミス事例の問題を作成する場合に「どれを試験化すべきか?」を選別するのは困難といえます。
また、問題の選定にあたっては、それによりもたらされる教育効果を考えないと、社員へのフィードバックが難しくなります。
3)更新し続けるための安定したリソースが必要
試験問題は毎年、更新する必要がありますが、そのためには作問能力が求められるだけでなく、過去の問題の傾向や結果を把握していなければなりません。
とくに担当者の転勤や配置替え、退職などがあった場合には、そのノウハウを後任者に引き継げるだけの時間が十分でないことが多いといえます。
そのため、小さな規模の企業では、これらのリソースを安定して確保するのが困難といえます。
4)試験設計と研修設計を同時に行う必要がある
試験の内容は実務を反映したものである必要がありますが、試験で見つかった弱点は研修に反映しなければならず、さらに研修の効果は再び実務や試験へ反映する必要があります。
実務 ➡ 試験 ➡ (弱点の発見) ➡ 研修 ➡ 実務 ➡ 試験
この「教育の循環構造」をつくるには、実務に精通した社内のベテランと専門知識をもった人間の共同作業が必要となります。
なお、試験や研修は、4つのステップを踏んで行うと効果的となります。具体的な手順を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
なぜ外注化が効果的なのか ― 3つの理由
実務型の社内試験を成功させている企業ほど、試験問題作成・運用分析を外注化していますが、その主な理由は次の3つにあります。
(理由1)問題作成の質が向上する
試験問題の専門家は、過去のケースや経験から得られた知見を豊富に持っており、また、試験の設計や分析に精通しています。
そのため、企業内部だけでは時間的・技術的に対応が難しい品質の確保をすることができます。
(理由2)社内の負担が大幅に減る
試験作成は、作業量が膨大であるだけでなく、担当者レベルでは時間管理や精神的なプレッシャーなどの負担が生じます。
しかし、外注化することで、企業の人事・教育担当者は分析や現場フィードバックなど“本来の業務”に集中できます。
(理由3)“毎回更新し続ける体制”が維持できる
試験の実施を毎回安定して更新するためには、綿密な設計と体制づくりが必要となります。
また、法改正や担当者の変更があった場合には、改正点についての理解や後任者への引継ぎなどが急務となります。
しかし、外注であれば、制度変更・法改正に迅速に対応でき、担当者の変更があった場合でも、スムーズに引き継ぐことができます。
まとめ
実務型社内試験において有効とされる形式には、ケース型・行動判断型・ミス再現型・優先順位判断型などがあり、これらをうまく活用することで高い試験効果が得られます。
しかし、そのためには、企業内で場当たり的ではない、実務環境に即した設計や運用が重要となり、それが大きな企業の負担となります。
けれどこれら問題は、実務に精通したベテラン社員と社外の専門家が連携することで解決でき、また、より高い効果を発揮することができます。
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